導入事例
一般財団法人 日本気象協会
「災害気象情報電話通報サービス」は、メール配信による防災情報に、電話通報をプラスした新しいサービス。お年寄りや視覚の不自由な方のために、メールの文章を自動的に音声変換して、登録済みの電話番号に一斉通報するというものだ。一般の方々へのメール配信と併用することで、災害時、特に助けを必要とする方々にも、適切なタイミングの災害気象情報通報が可能になった。
財団法人日本気象協会が2009年6月より運用を開始した「災害気象情報電話通報サービス」。その前身には、2005年9月4日の集中豪雨による浸水被害後、杉並区に提供していた気象、地震の警報や雨量、河川の水位などを知らせる災害気象情報のメール通報サービスがあり、その杉並区から新たな相談があったことが、サービス立ち上げのきっかけだった。
「杉並区から、現在のメール通報サービスに、災害時要援護者向けの電話サービスを追加できないかと相談を受けました。私たちにしてみれば、すでに運用中だったメールシステムの拡張という仕事です。さっそく具体化への動きが始まりました。」
2008年秋以降、開発を続けた成果が実り、2009年6月、日本で初めてのサービスが杉並区からスタートした。
「導入に際して、緊急情報をいかに短時間で送るか、という課題が重要でした。電話装置を役所内において、あらかじめ用意した音声ファイルを利用する従来の方法だと、任意の情報を短時間で送れない、一斉通報のためには普段使わない多くの回線を確保しなければならないのが悩みの種でした。自動的に音声変換できて、それを自動的に電話で一斉発報できるシステムが欲しかったのです」。ほかにも、必要な組み合わせを選んで開発コストを低減できるなどの課題を検討した。
「今回の提案を受ける前、音声変換について検討を行ったほかの音声変換システムもありましたが、自動電話とのセットではありませんでした。しかし、このサービスは、音声変換と自動電話をセットで利用できて、そのまま私たちのシステムにアド・オンできる。これは、決め手でしたね。柔軟なインターフェイスを持つルーシッドの音声システム”VIS”により、運用中のメールシステム”LifeMail”との連携は容易に実現。音声合成の品質も想像よりはるかによく、これなら使えると思いました。」
音声プラットフォームには先進のデータセンターを活用した高信頼性のサービスを提供するNECネッツエスアイを採用。
「24H体制での保守・運用サービスにより安心し て杉並区様にご利用頂いております。また、受ける人の立場に立って、同じメッセージを3回流すという工夫があるのもいいですね。間違って途中で電話を切ってしまっても、1分後に再通報するようにしています」。クライアント側のオペレーションも、ブラウザでテキストを入力して電話同時配信のチェックボックスにチェックを入れるだけと、きわめて簡単だ。
「ほかの活用法といえば、防災無線のスピーカー音声が聞き取りにくい地域で役に立つと思います。難聴対策もとられてはいますが、逆にうるさくなったり、コストがかかったり、いろいろ難しいことがありました。そういったケースでも、このサービスはこれから活 躍の場が多くなるのではないでしょうか。 自治体等で外国人の方に国際交流や福祉の情報を伝えるケースにも活用できます」。
「自治体や企業で緊急時に職員を呼び出す場合、順番に呼び出すことが可能で着信が正しく確認できる点もいいです。つまり、参集システムとしては、メールのメリットに電話のメリットが加わり、より確実なものになるわけです。そういったところに、今後の発展性があると思いますね」。気象急変などによる災害が予想される際、災害気象情報はまさに命綱であり、平常時以上に、その重要度は増す。
「緊急情報を伝える防災ツールとして、またほかの目的でも、このサービスが広がるということに意味があると思います。繰り返しになりますが、メールの一斉発報メリットを確保したうえ、音声変換と自動電話をセットで利用できて、そのまま私たちのシステムにアド・オンできる。ということは、私たちがコンサルティングを提供するクライアントにとっても、システムの有用性や実効性、コストの点でメリットが大きいはずです。危機管理の観点でも、この音声 サービスがもっと全国的に波及するといいですね」。
財団法人日本気象協会が新しく立ち上げた「災害気象情報電話通報サービス」は、深い意義を優れたシステムとサービスがサポートしています。